おしん
NHKの朝の連続ドラマ、今は8時から15分間の放送だ。
僕が子供のころは、おはなはんというドラマが流行り、これが終わってから小学校へ行っていた。
始業は8時40分。
家から学校まで5分もかからないので遅刻などはしなかった。
この時のドラマの始まりは8時15分。
そして終わるのは8時30分。
僕は十分学校に間に合った。
教員になってから、遅刻が異常に多い年があった。
正門で立っていると遅れてくる生徒が必死に走ってくる。
8時40分のチャイムに遅れる生徒が一日平均20人以上。
自分のクラスの生徒に、毎日遅れてくる生徒がいる。
指導するのだが、なかなか遅刻が治らない。
朝寝坊だと本人が言う。
僕もまだ、勤めてから数年だったので、なぜ遅刻が毎日これだけ多いのかわからなかった。
卒業した後、彼に会った。
なぜ毎日遅刻を続けたか?
理由はおしんを毎日見ていたから。
視聴率50%越えのドラマで話題になっているものを見ないで学校へ行く。
それも当時はビデオもなく、再放送は学校にいる時間で見ることもできない。
中学生にとっても、やはり興味のある番組だったのに違いない。
毎日見ていてギリギリに来る。
彼が大幅に遅れてくるときがたまにあった。
そのときには、ドラマで涙がこぼれてしまって、顔をしっかり洗ってから学校に気でいたからだ、といっていた。
学校の先生は、当時土曜日も授業があったし、この時間は出勤しているのでおしんなどを見ることも無い。
話題性があるので、長期休暇でちょっと見た覚えがあるぐらい。
彼は、普段いい男で遅刻癖が問題だ、ぐらいに僕は思っていた。
その理由がおしんだときいて、「ああなるほど」と思ったものだ。
今思えば、この年の遅刻の多さは今思えば、異常だった。
今は放送時間が速くなってそんなことも無いのだろう。
大きい社会現象にもなった番組だけに、こんなところにも影響があったのだと改めて思った。
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